中小企業でイノベーションが起きない4つの理由
差別化が難しい時代、多くの会社ではイノベーションを起こしたいと考えます。
既存事業では先行きは見通せない時代では、新規事業の開発に力を入れています。
しかし、実際には収益を確保する事業として確立するのは困難です。
経営者は自ら考え、スタッフはイノベーションを起こしたいと意気込みます。しかし、実際にはほとんどイノベーションは起こりません。
なぜ、ほとんどの会社でイノベーションが起きないのか?
その理由と打開策を考えてみます。
Contents
そもそもイノベーションとは?
まずは、イノベーションについて考えてみます。
フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』には次のようにあります。
イノベーション(英: innovation)とは、物事の「新結合」「新機軸」「新しい切り口」「新しい捉え方」「新しい活用法」(を創造する行為)のこと。一般には新しい技術の発明を指すという意味のみに理解されているが、それだけでなく新しいアイデアから社会的意義のある新たな価値を創造し、社会的に大きな変化をもたらす自発的な人・組織・社会の幅広い変革を意味する。つまり、それまでのモノ・仕組みなどに対して全く新しい技術や考え方を取り入れて新たな価値を生み出して社会的に大きな変化を起こすことを指す。
この説を採用するなら、イノベーションとは、新しい技術ではなく、新しい価値を提供するということに重きを置くべきでしょう。
たとえば、全国のどこにでもある公園。
公園は、明治期に欧米を訪問した使節団が持ち帰ったと言われています。当時の日本人は家で過ごすことを好み、家の庭を作ることと逆に、西洋人は外で人と交流することを好むので公園があるという点に着目して、各地に公園が作られました。
外で人と交流するというのはイノベーションです。また、災害の際には避難場所として活用できるというのもイノベーションと言えるでしょう。つまり、公園を作ることで、人のつながりを変えたのが第一のイノベーションです。公園そのものは変わらなくても、避難所としての新しい役割を提唱したのは第2のイノベーションと言えるのではないでしょうか。
今、コロナ禍で外出の制限が行われています。人との距離を保つにあたり、公園の活用法を見直すこともイノベーションを起こすのではないかと思います。建築物で溢れた都会にこそ、必要な発想ではないかと思います。
東京の豊島区では、小さな公園活用プロジェクトが行われています。
なぜ、中小企業でイノベーションが起きないのか?
なぜ、多くの企業でイノベーションが起きないのか?
その理由を考えてみたいと思います。
1:既存の事業を否定している
既存の事業の見通しが明るくないので、違うことをやろうとする発想は、逆に独自性が失われる原因となります。
たとえば、印刷会社の場合、紙の印刷の需要が減るのでデジタル化にシフトするという発想を持っている会社は少なくありません。そこで、Web制作やアプリ開発に力を入れようと考えがちです。しかし、もともと社内にリソースがない場合、すでに先行している企業に勝つことは容易ではありません。
さらに、「紙は時代遅れ」という発想に陥ると、社内での基幹事業へのモチベーションが低下してしまいます。
2:業務が複雑になる
イノベーションを起こすためのチーム編成にも注意が必要です。部署を横断したり、広い年齢層のメンバーを編成することは、ミーティングで活発なアイデアを出すことには役立ちます。しかし、実際の実行手順が複雑になるため、専門チームの編成が重要になります。しかし、中小企業では、人員的な余裕のなさから専門チームの編成が難しいため、会議だけが行われていることが珍しくありません。
3:責任者不在
事業を推進するにあたり、メンバーの責任を明確にしておくことも大切です。兼務の場合、既存の仕事を優先せざるを得ないため、新規事業の進行が遅れることがあります。こうした場合に、進捗の確認をする人がいなければ、どんどん後送りになってしまいます。
4:意思決定のスキームが確立できない
最終的に誰がGoを出すのかと言いますと、中小企業の場合は、社長になります。社長に却下された場合、スタッフは社長の先見性のなさを否定的に捉えたり、社長がO Kを出しような事業アイデアを考えるという具合に、本来のイノベーションからは離れたアイデアを考えるようになってしまいます。
イノベーションを起こすために大切なこと
1:トップがビジョンを示すこと
各々のスタッフが勝手にイノベーションを起こそうとすると、方向性がバラバラになってしまいます。ですから、どんな分野でどんなイノベーションを目指すのかは、トップが明確な方針を住めす必要があります。
2:チーム編成
イノベーションはアイデアだけでなく、実行が大切です。ですから、機動力のある若手と中堅社員でチームを編成することが大切です。
3:長期的な視野と時間軸の設定
イノベーションは一長一短で起こるものではありません。長期的な視野が必要です。一方で、時間を区切らなければ永遠に考えているだけになってしまいます。
時間軸の設定もトップの大切な仕事です。
まとめ
この記事では、中小企業でイノベーションが起きにくい理由を考えてみました。人口が減少していく日本で、海外向けの販路を持たない中小企業では、低コストの製品を大量に販売するビジネスモデルを成り立たせるのが難しくなっています。付加価値の高い製品を生み出すイノベーションが重要になっていますが、思い通りになっていない場合、この記事で提唱している課題について考えていただきたいと思います。
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