緊急事態宣言で、凸凹した国と地方自治体の歪みを考えてみる

   

 

2021年1月に新型コロナウィルスの感染拡大を防ぐために、2度目の緊急事態宣言が出されました。

「緊急事態宣言」という何とも危機的で、聞き慣れない呼び名から恐怖を感じた人も多かったのではないでしょうか?一方で、緊急事態であるにも関わらず、首都圏での人出は、前回の宣言時よりも多くなっているというデータもあります。2度目ということで、人々が慣れてしまったのかもしれません。

そもそも、緊急事態宣言とは何か?滅多に出るものではないので、危機的状況であることには間違いありません。緊急事態宣言とは、どのような効力があり、私たちの生活にどのように影響があるのでしょうか?

再度、勉強してみます。

 

 

緊急事態宣言とは?

 

非常事態宣言とは、緊急事態に際して、国家や地方政府が特殊な権限を発動することができるということを言います。

手順としては、まずは、首相が宣言をします。その後に、外出自粛や休業を要請する権限は法的には主に知事にあります。

この点は、わかりにくく、非常事態宣言の発令と解除は首相の権限となります。要は、宣言の発令と解除は首相が行い、事業者などへの要請などは都道府県知事が行うという役割分担になっています。

今回は主に飲食店に対して時短営業の要請となっています。この際に出てくるのが、保証の問題です。

財政基盤の強い都道府県は「協力金」を出すこともできますが、基盤の弱い都道府県では要請に伴う保証に充てる財源がありません。で、お金はどこから出ているのかと言いますと、緊急経済対策として国が地方自治体に配る臨時交付金ということになります。

 

1回目の緊急事態宣言の当初は、政府は臨時交付金を事業者への休業補償にあてることに否定的な考えを示していました。しかし、都道府県知事に押されて、方針転換をしています。政府は、地方自治体に交付金を出し、都道府県知事らによる休業や時短の要請を財政支援しています。

1店当たり1日最大2万円とする協力金の支給水準は、1日4万円となり、緊急事態宣言が続く間は、1日6万円となっています。6万円は、大型店舗では赤字かもしれませんが、小さなお店では黒字になります。

というか店を開けるよりも儲かることもあるでしょう。

 

 

 

緊急事態宣言が出ていない都道府県は?

 

2回目の緊急事態宣言は、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、大阪府、兵庫県、京都府、福岡県、栃木県、岐阜県、愛知県となっています。

栃木に出て、群馬には出ないのか?という疑問もありますが、人口と感染者の割合を考慮したものと考えられます。

では、その他の地域は通常通りの生活をしており、飲食店は営業しているのか?と言いますと、そんなことはありません。

非常事態宣言が出ていない都道府県の事業者には、基本的に国からの支援金は出ないようです。

 

地域別に見ると、

熊本県は、県の策定した感染防止ガイドラインを遵守することを条件に、支援金の対象は1ヶ月分の家賃となっています。

https://www.city.kumamoto.jp/hpKiji/pub/detail.aspx?c_id=5&id=32789&class_set_id=2&class_id=374

 

沖縄県では、飲食店や遊興施設の営業を午後8時までに2時間前倒しすることで、1日4万円の支援金が交付されます。さらに、国の緊急事態宣言に準じた地域に指定するよう政府に要請し、認められれば飲食関連の協力金を1日6万円で算出できるよう支援を拡充するとしています。

https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/694797

 

他には、高知県など13道県は梶山弘志経産相に対し、緊急事態宣言が発令されていない地域で主に経済活動している事業者も支援金の対象に含めることを要請しています。

という具合に、緊急事態宣言が出ている地域と出ていない地域の不公平感は否めません。支援の決定においても、国と地方自治体との交渉力が重要になり、知事と地区町村のトップの力量が大きく影響しているように見えます。

 

 

 

過去の緊急事態宣言

 

ところで、過去にどのような事態で、緊急事態宣言が出されていたのでしょうか?

調べたところ、過去に数回、大きなものは2回、宣言が出されているようです。

 

1:東日本大震災

2011年3月に発生した東日本大震災の際に、非常事態宣言が発令されています。ただし、「東京電力福島第一原子力発電所について原子力緊急事態宣言を発令」とあるように、ピンポイントの宣言となっています。

事故が発生した近隣地域や原発施設関連以外には、何かの影響があったわけではありません。

 

2:国家総動員法

遡れば、国民生活に最も大きな影響を与えたのは、国家総動員法でしょう。国家総動員法(こっかそうどういんほう)は、1938年(昭和13年)第1次近衛内閣によって第73帝国議会に提出され、制定された法律。日中戦争の長期化による総力戦の遂行のため国家のすべての人的・物的資源を政府が統制運用できる(総動員)旨を規定したものです。国民には、戦争のために全てを差し出す義務が発生します。すべてのものとは、命も含まれます。

 

 

 

緊急事態宣言で何が変わる?

 

緊急事態宣言は、非常事態において、政府の権限を強化するものですが、権限の発動には、国民感情が影響します。

ですから、現在において、強制力は強いものではありません。飲食店の営業時間の短縮も強制ではなく要請ですし、罰則はありません。

今後、緊急事態宣言によって、私たちの生活に変化があるとしたら、強制力と罰則が強化された時でしょう。営業時間を短縮しない飲食店や客に罰則を設けることになれば、私たちの意識が変化するでしょうと思っていたのですが、22日に罰則規定が閣議決定されました。

 

内容は、

・知事が飲食店などに立ち入り検査し、報告を求めることもできるようになり、拒否した場合、20万円以下の過料とする。

・感染した人が入院拒否や入院先から逃亡した場合に懲役1年以下または100万円以下の罰金を科せるようにする。

・保健所が感染経路などを調べるため行う疫学調査を拒んだり、うその回答をしたりした場合に50万円以下の罰金を科せる。

というものです。

 

 

 

私たちはどうすれば?

 

新型コロナウィルスの感染が広まったことで、社会生活は一変しました。これは緊急事態宣言の有無によるものではありません。

一方で、緊急事態宣言が発令されたということは、事態の収束に国民意識が統一できていないということです。罰則は一定の効果があると思いますが、根本的な解決策とは思えません。

生活を維持するために経済活動を止めることができないなど、それぞれに事情はあります。その中で、政府や都道府県に要請に従った生活をして、支援金などは最大限に活用しつつ、国民全体が事態の収束に結束することが大切だと思うのです。

 

 

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