つい嘘をついてしまう人の心理と、正直に話してもらうための処方箋

      2026/01/10

 

職場で「この人、また嘘をついているかもしれない」と感じた経験はないでしょうか。
進捗を聞くと「順調です」と言われたのに、後から遅延が発覚する。確認すると話が微妙に変わる。こうした状況が続くと、信頼関係は確実に傷つきます。

しかし、ここで一つ重要な前提があります。
多くの場合、嘘をつく人は「悪意」で嘘をついているわけではありません。

本記事では、つい嘘をついてしまう人の心理構造と、正直に話してもらうための現実的な処方箋を解説します。

 

 

なぜ人は「つい」嘘をついてしまうのか

 

職場における嘘の多くは、次の心理から生まれます。

 

1. 正直に言うと不利益があると学習している

過去に、

  • ミスを報告したら強く叱責された
  • 途中経過を言ったら責任を追及された
  • 悪い報告をした途端、空気が重くなった

こうした体験があると、人は無意識に学習します。

「正直に言う=危険」

この学習がある限り、「嘘をつく」という行動は本人にとって自己防衛として合理的なのです。

 

2. 完璧であろうとする責任感が強すぎる

意外に思われるかもしれませんが、嘘をつく人の中には真面目で責任感が強い人が多くいます。

  • 任された仕事を失敗したくない
  • 期待を裏切りたくない
  • 「できません」と言うことに罪悪感がある

その結果、

「もう少しで何とかなるはず」
「今はうまく言っておこう」

と、事実を歪めてしまうのです。

 

3. 役割や権限が曖昧なポジションにいる

秘書、総務、調整役、窓口担当などのポジションは、嘘が生まれやすい環境です。

  • 判断していいのか、確認すべきなのかが曖昧
  • 代表や上司と現場の板挟みになる
  • 情報のハブになりやすい

この構造の中で、「場を丸く収めるための嘘」が癖になることがあります。

 

嘘を責めても、正直さは育たない

 

ここで多くの組織が間違えるのが、

  • 「嘘をつくな」と注意する
  • 「正直に言え」と説教する

という対応です。

残念ながら、これは逆効果です。
なぜなら、嘘をつく人はすでに「正直に言うと怒られる」という前提を持っているからです。

言葉で正直さを求めても、行動(反応)が変わらなければ、心理は変わりません。

 

正直に話してもらうための処方箋

 

では、どうすればよいのでしょうか。
答えはシンプルです。

 

1. 正直に言っても「安全」だと体験させる

正直な報告があったとき、まず言うべき言葉はこれです。

「先に教えてくれてありがとう」

内容の評価は、その後で構いません。
この一言があるだけで、「正直=即ダメ出し」という回路が弱まります。

 

2. 事実と感情を切り離す

正直さを引き出すには、事実確認の場に感情を持ち込まないことが重要です。

  • ×「なんでできてない?」
  • ○「事実として、今どこまで進んでいる?」

問い方を変えるだけで、相手は防御をやめ、事実を話しやすくなります。

 

3. タスクと進捗を文書で共有する

嘘は口頭で生まれ、文書で消えます。

  • 何を頼まれているか
  • 今どこまで進んでいるか
  • 次に何をするのか

この3点を文章で残すだけで、「ごまかす余地」がなくなります。
同時に、正直に書いた方が楽になります。

 

4. 結果より「早く言ったこと」を評価する

失敗そのものよりも、

  • 早めに報告した
  • 判断に迷って相談した

こうした行動を評価することで、

「隠すより、言った方が得」

という新しい学習が生まれます。

 

それでも変わらない場合

 

環境を整え、関わり方を変えても、正直さが育たない場合があります。
そのときは「性格の問題」ではなく、役割の適性を見直すタイミングです。

正直さが最優先されるポジションに、別の強みを持つ人を無理に置き続ける必要はありません。

 

まとめ

 

嘘は「人格の問題」ではなく、「環境への適応行動」であることがほとんどです。
だからこそ、正直さは説教ではなく、仕組みと関わり方で育てる必要があります。

正直に話せる職場は、管理が厳しい職場ではありません。
安心して事実を出せる職場です。

その設計こそが、組織の信頼とスピードを同時に高めます。

 

 

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