交渉を有利にすすめる3つの手順

   

 

あなたは交渉力があるビジネスマンでしょうか?

交渉とは、対立する利害を合意に導くための討議のことを言います。一般的に交渉とは特殊なスキルだと思われがちです。しかし、交渉は、ビジネスのあらゆる現場で必要なスキルです。

例えば、部下に残業をお願いする場合もひとつの交渉です。上司だからといって高圧的な命令をすると部下の信頼を損ないます。

価格交渉は物品の購入から会社の売却まで、多方面で交渉は行われます。

この記事では、交渉とは何かを考え、交渉を有利にすすめるノウハウを解説します。

 

 

交渉とはなにか?

 

交渉とは、利害の対立する双方が合意するために討議をすることです。最終的に自分に有利な合意を取り付けた方が交渉に勝ったと言えます。しかし、自分に有利な条件だけを押し付けた場合、相手の信頼を損なってしまうことがあります。

たとえば、部下に転勤を打診する場合について考えてみます。東京に勤務している部下に地方に転勤して欲しい場合、問答無用で「会社の決定だから異動しろ」と命令をしてしまうと交渉は発生しません。逆に、「それなら会社を辞めます。」と言われてしまっても交渉決裂です。優秀な部下が会社を辞めるなら、大きな損失になります。

部下が転勤を承諾しない場合、どんな理由で承諾しないのかを聞きながら、転勤をしてもらうための話し合いも交渉となります。

 

 

実は自分を不利にしている交渉

 

一般的に交渉と言うと、価格の交渉を想像する人が多いかもしれません。ビジネスの現場で最も多く行われている交渉は価格の交渉でしょう。

価格交渉は、一般的には買い手が主導権を持ち、注文が欲しい売り手は不利になるケースが少なくありません。売り手は値下げを最小限に留めるべく、「これ以上は無理です。」と懇願する場面がよくあります。

最終的に利益が残る金額で合意できればよかったと考えがちですが、こうした交渉を続けていると会社の利益がどんどん薄くなります。

また、買い手も、価格を叩くことで交渉に勝ったと思うかもしれませんが、信頼関係を損なっているかもしれません。

某印刷会社は、あまりの価格の厳しさから業界での評判が良くありませんでした。ある時、用紙の価格が高騰し、品薄状態になりました。紙がなければ印刷ができないので、どの印刷会社も多少の高値に目をつぶって、用紙を仕入れます。メーカーは売り先に困らないため、この印刷会社への用紙の供給を絞りました。結果、注文はあるものの、印刷ができず、仕事を断ることになってしまいました。

このように、その場の交渉に勝ったように見えても、長い目で見た時に、自社にとって不利益な交渉をしていることが少なくありません。

 

 

会社売却による冷徹な交渉

 

現在、中小企業の多くは、後継者不足に悩まされています。そこで、会社を売却する経営者が増えています。こうした背景に伴い、会社の売却を仲介する業者も増えています。

 

朝日新聞に会社売却の経験を掲載した経営者の話を紹介します。

Aさんは地方都市で製造業を営んでいました。親から引き継いだ会社を成長させ、従業員は40名。息子は好きな仕事をしているので、継がせる気はありません。自分の年齢を考え、会社を売却することを考えました。

M &Aの業者と契約し、安いとは言えない着手金を支払います。もちろん、成功報酬は別途です。

購入希望先が現れ、希望の売却金額を聞かれます。思案して金額を提示します。相手先も、ほぼ了解との確認が取れ、契約は進みます。その後、具体的な契約に進む段階で、買収監査に基づいた譲渡価格の提示を受けます。金額は、大幅な減額でした。

いくつかの会計上の処理が減額要因となり、工場の敷地や建物、在庫に関わる評価も下げられ、減額幅を大きくしていました。会社を高く売りたいわけではなく、目的は事業と雇用の継続です。また、業者からは、「これに反論することはできますが、その場合は最悪、損害賠償請求をうける可能性があることを想定してください」という趣旨の話がありました。

結局、提示金額で会社を売却することに同意します。

業者は、金額面では交渉に勝ったと言えます。しかし、Aさんが仲間の経営者から会社売却の相談を持ちかけられたとしたら、この会社を紹介するでしょうか?

 

 

交渉の目的は?

 

改めて、交渉の目的について考えてみたいと思います。交渉の目的は、自社のとって有利な合意に導くことであると同時に、交渉相手に納得感を得て、信頼関係に基づいた長い関係性を構築することです。

また、対外的にも自社の評判を良くすることを意識する必要もあります。

たとえば、価格交渉の場合、

相手先「単価1,000円が限界です。」

あなた「うちは900円が希望です。」

相手先「それは無理です。」

という交渉は堂々巡りを繰り返し、最終的に「無理です。」という回答を引き出しかねません。相手先が自社にとって重要なサプライヤーだった場合、代わりのサプライヤーから購入することはリスクとなります。

こうした場合、「950円で合意しますので、発注単位を少なくしてもらえますか?」という条件を提示することで、自社の倉庫や物流の費用を抑えることができれば、交渉は成功です。

また、「あなたの熱意に負けて、950円で契約します。」としておくと、相手は交渉に勝ったと思います。

 

 

交渉の手順

 

ほとんどの交渉の場面で不足しているのは事前の準備です。価格交渉の場合、見積額を見てから、価格の交渉に入ります。こうした交渉では、感覚的なやりとりになるため、お互いにすっきりしない展開となります。

交渉において大切なことは事前の準備です。

交渉の手順についてお話しします。

 

1:事前のリサーチを行う

過去の発注金額はもちろんのこと、他社の購入価格、他業者の見積もりなど、できる限り情報を集めます。また、資材や人件費の高騰などの市場の情報も集めます。値上げを要請されることもあるので、交渉に関する情報は多い方がいいと言えます。

 

2:現場での交渉

交渉は決裁者を同席させないことが原則です。その場で決裁を迫られた場合、決断しなければならず、不利な条件で合意することになってしまいます。特に、社長や幹部社員が挨拶訪問をした際に、交渉のテーブルにつかないことがポイントです。

交渉の現場では、相手の条件を聞き、こちらが集めた情報と照合をします。着地ポイントが見えても、その場での合意は控えます。

 

3:合意

提示された条件が妥当なものか、漏れがあることで追加費用がかからないかをチェックします。また、他に価格以外にお願いできる条件はないかと考えることも大切です。

 

 

 

交渉における注意点

 

ここからは交渉における注意点をお話しします。

 

1:話しすぎない

交渉中に話しすぎると、情報を相手に与えてしまうことになります。また、競合の見積もりを見せてそれ以下の価格に交渉する人もいますが、こうした対応は会社の品位を損ないます。

見せた見積もりが、品質に問題がある会社の場合、逆に相手の交渉を優位にしてしまいます。

 

 

2:条件は相手から提示させる

指値を先に言ってしまった場合、先方のボトムラインよりも高い価格で合意してしまうことがあります。条件は必ず相手から提示してもらいます。もちろん、「これが限界です。」という話を鵜呑みにしてはいけません。

 

 

3:切り込むトークを持っておく

相手のボトムラインに近づけるために、確信に切り込むトークを用意しておきます。

「これ以上、コストを下げる方法はありませんか?」

「これが限界である根拠を教えてください。」

「価格以外でご提案いただくことはありませんか?」

という具合です。

 

逆に売り手の立場で切り込むトークは、

「この価格で満足いただけない点は、どんなところでしょう?」

「価格以外で検討していただくポイントはありませんか?」

「もし、ご希望の価格を了承すれば、今ご発注を決めていただけますか?」

 

という具合です。

 

 

4:相手の情報を読み取る

交渉は相手を論破する場ではありません。合意した後に仕事が始まるので、相手のモチベーションを下げないことが重要です。対立的議論ではなく、交渉相手の情報を読み取りつつ、ダメージのない着地点を見つけます。

 

・強みと弱み

相手の強みと弱みを知ることで、業界全体の価格と品質のバランスがわかります。

 

・期間

納期対応に関する情報を取得することで、スピード感のあるビジネスを展開することができます。

 

・決裁方式

役職によって決裁範囲が違う場合、担当者の顔を潰さずに、上司の決裁を依頼します。

 

・決裂した時に代替え案

もし、条件で折り合いがつかない場合、どうするのかを聞いておくことで、相手にとって自社の重要度がわかります。

 

 

 

交渉を有利にする手札

 

1:サプライヤーの変更が可能かどうかを確認しておく

売り手の最も恐れるのは、他社にスイッチされてしまうことです。逆に、厳しい交渉をし続けると、断られてしまうことがあります。交渉前にサプライヤーのスイッチが可能かどうかを担当部署と確認をしておきます。

 

2:即決しない

どんなに有利な条件に思えても、即決しないで、検討することが重要です。後で穴が見つかるかもしれません。売り手と買い手共に決裁者を同席させないことが原則です。同席する場合は、社内決裁システムを理由に、持ち帰って返答をすることにしてください。

 

3:最後に少し譲歩する

価格を安くすれば交渉が成功したとは限りません。価格を譲歩する代わりに、品質面のグレードアップなどを依頼することもできます。少し譲歩することで、交渉クロージングの後味が良くなります。

 

4:時間に余裕を持つ

交渉を長引かせることはお互いのロスが大きくなります。しかし、交渉のスタートは早めに行ってください。納期がないことを理由に特別料金の交渉など、最初から不利な条件を提示されることがあります。

 

 

まとめ

 

この記事では交渉についての方法論と注意点を考えました。交渉はビジネスの大切なスキルです。立場を盾に傲慢な態度を取ったり、感情的にならずに交渉を進めてください。大切なことは、自社に有利な条件を引き出しつつも、サプライヤーとの信頼関係を構築することです。

 

参考文献

 

 

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