2022年4月某日
体験者：生産管理部Ｋさん

これは春先の夕方の話である。日が長くなり、まだ太陽ができている時間帯、事務所には10人ほどの社員が仕事をしていた。その日も忙しく、それぞれの社員は仕事に追われていたので、黙々と仕事をしていた。

その時、急に廊下側のガラスのパーテーションが後ろの入口付近からガタガタと揺れ始め、だんだん前方の受付カウンター付近のパーテーションまで波打つように揺れ出した。

最初に気づいた社員は、小さな地震かと思ったのだが、他の社員もパーテーションの揺れに気づき始めた。揺れているのは、廊下側のパーテーションだけなので、地震ではない。

「今の何？」と社員がざわついている時に、T次長が「気のせいかな？5歳くらいのおかっぱ頭の女の子がまりで遊んでいる姿が見えた。」と言った。

「それって、幽霊ですか？」

「いや、怖い感じはなかったよ」とT次長。

そのうちに、「座敷童ではないか？」という話題になったが、その場は、T次長の勘違いということで、みんなは仕事に戻った。

座敷童子は、文字通り座敷に現れることが多いという。ダイトクコーポレーション内にあるお化け屋敷につながる廊下には、来客用の座敷があり、T次長が行った女の子が消えて行った方向と合致する。

座敷童子を見た人にはいいことが起こると言われている。T次長は、それからまもなく部長に昇格した。