お化け屋敷を開催してから次々と起こる心霊現象
第漆話 気配はするが姿が見えない女(目撃者:生産管理部 N)

201●年12月●日夜間
本社事務所
目撃者:生産管理部 N

ダイトクコーポレーションの生産管理部に所属するNは、向こうの世界を引き寄せる体質があるらしい。その理由は、別の機会にお話をするとして、今回はNの体験をお話ししたい。

12月のある日、Nは多忙で残業をしていた。気がつけば、他のスタッフは帰宅し、事務所にはNだけが残っていた。

仕事はもう少しで片づくので、Nは我慢していたトイレに向かった。トイレに続く廊下の右手に応接室がある。

応接室の横を通り過ぎようとした時、何やら物音がした。照明は消えているが、ゴソゴソと何かを探している気配がある。「まだ、誰かいたのか?」と不思議に思ったNは、応接室のドアを開けて、「何をしているの?」と室内に声をかけた。

その瞬間、顔を背けるくらいに突風がNに吹きかかった。さらに、突風に乗って、何かが自分の体をすり抜けた感覚があった。

室内は真っ暗で誰もいない。しかし、少し暖かいと感じた。もちろん、エアコンのスイッチは入っていない。金沢の12月は寒い。Nは背筋が寒くなったが、応接室のドアを閉めてトイレに向かった。

気味が悪くなったNは、早々にトイレを済ませて、急ぎ足で廊下を戻り事務所のドアを開けた。すると今度は、事務所の中からブオーッ!!!と先ほど以上のすごい風がNを襲った。

恐ろしくなったNは、明日の為にもう少し作業をしていきたかったが、何者かがこれ以上事務所にいることを許さないような気配が押し迫っていることを肌で感じた。

すぐにパソコンを閉じ、後片付けを始めたが、誰かがずっとこちらを見ていると感じる。さっきから、はっきりとした気配を感じるが、誰の姿も見えない。

早く出ていけと言われている。声はしないが、そういう気配を感じる。

Nは慌てて、戸締りを済ませ、すぐに事務所から出てカギをかけ、走って事務所を後にした。

しかし慌てて出てきたため、車のカギを机に忘れてしまった・・・このままでは帰宅できないのでやむなく、彼女が待っている事務所に戻った。彼女?姿を見ていないのに女性だとなぜわかるのか?自分でも説明ができない。だがそこには確実に女性がいる。

この理由は、後日明らかになる。