お化け屋敷を開催してから次々と起こる心霊現象
第参話 霊より恐ろしい…(体験者 K機長)

201●年●月●日午後
本社工場 夜間の事務所廊下
体験者:K機長

ダイトクコーポレーションの事務所では、社員がリラックスをするために、BGMを流している。ただし、お客様からの電話もかかるので、ボリュームは抑えている。

夜勤勤務の休憩中、K機長は不思議な体験をした。

その日は、BGMのボリュームが大きく、廊下を挟んだ食堂まで聞こえる。

夜勤は工場だけが稼働しているので、事務所に社員はいない。

事務所社員が帰り際のボリューム設定の間違いかと思い、事務所に向かおうとすると、音楽にノイズが入り始める。ホラー映画でよくある「ジャジャジャ・・・」というノイズ。

「この前、N課長が霊を見たと言っていたけれど、うそでしょ。」と思いつつ、事務所に行こうとすると、BGMが「ギャー、ギャー」というカラスの鳴き声に変わった。

恐ろしくなったK機長は、工場に戻り、同僚に事情を話して、一緒に事務所に向かった。

しかし、戻った事務所はいつもと同じBGMが流れているだけだった。

それからも、K機長が夜勤で事務所に近づくたびに、BGMの音が変わるということが続く。しかし、同僚が行けば、何の変化もない。

K機長はストレスで仕事に身が入らなくなっていった。出勤しても、ヒゲもそらずうつろな目で「眠れない、寝させてもらえない、寝ようとするとアイツに邪魔される・・・」と話すばかり。

見かねた同僚は、K機長の兄に相談し、神社でお祓いを受けることにした。

お祓いの当日、K機長と兄、同僚の3人で神社に向かった。鳥居をくぐる直前に、K機長は「あの音が聞こえる」と取り乱し始めた。兄と同僚でK機長の体を抑えて、神社の中に入ろうとする。しかし、K機長は必死で抵抗する。

業を煮やした兄は、思いっきりグーパンチをK機長に見舞う。すると、「イッタい!」とK機長は我に返り、無事にお祓いを受けた。それ以来、BGMの異音を聞くことはない。

社内では、ことの次第を見た同僚の報告から、兄貴の鉄拳で霊が飛んでいったのではないかと噂されている。

もちろん、社長の趣味で作ったお化け屋敷が影響していると多くの社員が内心では思っていることも付け加えておく。